コツコツDIY ~DIY初心者が挑戦する、賃貸マンション改造計画~

狭い賃貸マンションを、スローペースでコツコツ改造中。初心者&車無しでもできるDIY事例や、調べたこと、使ったもの、失敗談など。2019年6月にうつ病発症。病気と子ども達の事を書くこともあります。

【SNSの誤情報②】うつ病は「完治が存在しない脳の病気」という表現について

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こんにちは✨

鬱病歴がもう4年になってしまった なつみかん です(#^^#)

※再発もしているので、通算ではほぼ10年になります💦。

 

前回、「うつ病は脳の損傷」という誤情報について書きました。

www.natsumikandiy.com

 

SNSは手軽な情報源として大変便利なものですが、一方で真偽不明の雑多な情報にあふれています。その為、受け手も情報の真偽を確かめながら、情報を精査する必要があります。このことは、すでに重々ご認識のことと思います。

 

しかし、”健康な時には”すぐに嘘と見破れたり、一個人の意見として冷静に受け止められるものであっても、うつ病の症状が重いときには中々そうもいきません。真に受けてしまって、酷く傷ついてしまうこともたくさんあると思います。

 

残念ながら、当事者を惑わすような情報は日々発信され続けています。個人が自由に発言することのできるSNSにおいて、それを止めることは不可能でしょう。

ならばせめて、正しい情報を上書きしたい。

 

と、いうわけで、今回は

「うつ病は”完治が存在しない”脳の病気」

について解説します。

 

「完治が存在しない」発言

この発言をした方も、うつ病患者であり約1万6千人のフォロワーを抱えるインフルエンサー。復職してご多忙の中、定期的なスペース開催・自助会・YouTube運営と、大変精力的に活動されているようです。

 

「完治が存在しない」という発言を含むポストは結構な長文の為、抜粋しますと…

うつ病は『完治』が存在しない脳の病気。

『寛解』したとしても、何かの拍子に再発してしまう可能性も。

(中略)

もしも、うつが再発することがあっても、まずは自分を責めないこと。

うつ病は脳の病気と言い聞かせて。あなたは何も悪くない。

(中略)

何度倒れても、立ち上がろうね。

もう一度、一緒に這い上がろうね。

雲が描く不死鳥のように。

 

一見すると、うつ病の再発しやすさに言及しながら、「自分を責めないで」「一緒に這い上がろう」という前向きで優しい言葉です。特に「すでに再発してしまった」方には救いの言葉になるでしょう。

 

しかし…この発言者は、今回のポストに限らず頻繁に「完治がない」「一度でも精神障害者になってしまうと…」「寛解の診断書出たのに希死念慮」等、自身の苦しい状況を発信しています。

一方で「完全断薬状態まで到達し寛解を獲得」とも言っている…

 

その為、この方のポストを頻繁に目にしていると、知らず知らずのうちに

「うつ病は寛解してもずっと苦しく、一生再発のリスクに怯えねばならない」

という認識をもってしまうのです。

 

しかし、うつ病は確かに「完治する」とは言わないものの、十分に「治った」と言える状態にできる病気です。決して「いつまでも苦しい」ものではありません。

 

 

「完治しない=治らない」ではない

SNSでは、「寛解」というワードをよく目にします。そしてそれはポジティブな発言ではなく、「寛解はするが完治はしない」とか「寛解どまり」等のネガティブな発言の中で使われることが多いと感じています。

 

しかし、そもそも「完治」と「寛解」の違いはなんでしょうか。

私自身も良く分かっていなかったので、改めて調べてみました。

 

寛解・治癒・完治

寛解とは、「症状がほとんどなくなった状態」のことで、厳密には「服薬した状態で症状がなくなった状態」を意味します。

そして、「寛解の状態が2か月以上続いた状態」を「回復」と呼び、さらに、その後減薬→断薬を経て、「服薬しなくても一定期間安定が続いている状態」を「治癒」と呼びます。

 

完治」は、”「治癒」に「再発のリスクが低い」という条件が加わった状態”を指す言葉です。うつ病では、一度発症した後は、どうしても発症前よりも再発リスクが高くなります(50%~60%)。そのため、「完治」という言葉は使われません。ですが、それでも「症状のない」状態にはできるのです。

 

「治る」とは?

先に述べたように、うつ病では再発リスクの関係上、医学的には「完治」という言葉は使われません。しかし…よく考えてみれば、「通院や服薬をしなくても安定が続いている状態」って、私たち一般人にとっては十分「治った」状態ですよね。

そもそも「寛解」だって、服薬はしていても「症状がない(ほとんどない)」状態なのですから、「治った」と言ってもよいのでは…?

 

試しに、Xでこんなアンケートを取ってみました。

 

回答数が少なすぎる為データとしては不十分ですが、34名中8名が服薬有の「寛解」で「治った」とみなし、34名中18名が服薬無しの「治癒」を「治った」と考えているようです。

 

つまり、78%の人が、「完治」に至らない「寛解・治癒」の状態を「治った」と認識できているのです。

 

 

※寛解・治癒はいつ訪れるか※

ところで、SNSを見ていると「寛解」はゴールのように位置づけられていますが…

実は、うつ病の治療経過でいうとかなり初期に訪れるものです。

 

うつ病の回復経過は「急性期」「回復期」「再発予防期」と大きく3つの段階に分けられますが、この3つの段階を大雑把にまとめると、以下のようになります。

 診断

  ↓

急性期(診断から1~3か月)…薬物療法、休養

  ↓

寛解

回復期(診断から4か月~半年)

 ・前半…薬物療法、休養

 ・後半…上記+生活リズムの改善、運動、心理療法

  ↓

回復

再発予防期(診断から1年以降)…治療継続。復職など

  ↓ 

 減薬

  ↓

 断薬

  ↓

治癒

  ↓5年経過

(社会的治癒)

 

治療開始直後の急性期は、うつ病の症状が最も強く現れる最もつらい時期。この時期は薬物療法と休養が主な治療になります。

治療を進めていくとだんだん症状が落ち着き、ある時、うつ病の症状を”ほとんど或いは全く”感じないときが訪れます。これが「寛解」です。

 

「寛解」を迎えても、最初はその状態がずっと続くものではありません。症状がない日もあれば、翌日にはまたつらい症状が現れる…という一進一退を繰り返します。

もの凄~く大雑把に言えば、「寛解してからが回復期」で、回復期には、一進一退を繰り返しながらもさらなる回復を目指していきます。

 

回復期の前半は、脳が自然治癒しようとする為眠い日が続くようです。こういった時は我慢せずに眠りましょう。眠気が落ち着いてくる回復期後半から生活リズムを整え、運動や心理療法に取り組みます。

 

寛解の状態が2か月以上続き「回復」を迎えたら、「再発予防期」に入ります。復職を始めるのはこの頃です。調子を見ながら減薬に取り組み、慎重に断薬を目指します。

※もちろん、人によっては服薬をやめない方が良い場合もありますので、無理に断薬する必要はありません。

 

詳しく知りたい方は、↓記事「うつ病の経過に関する用語解説」の項をご参照ください

うつ病の症状と治療経過について|銀座心療内科クリニック

 

 

うつ病の治療で最も重要なのは「再発させない」こと。

たとえ服薬をしながらでも、それで元気に日常生活を送れるのなら良いのでは…と、私は思います。

 

 

※完全寛解と不完全寛解※

先に取り上げたインフルエンサーさんのポストでは、しばしば「完全寛解」という言葉が使われます。では、「完全寛解」とは何でしょう。

 

下の引用にあるように、「完全寛解」とは「症状が完全に消失し精神的に安定した場合」を意味します。

逆に「症状が多少残っていても精神状態は安定し社会生活がある程度可能な場合」は「不完全寛解」または「部分寛解」と呼ばれます。

症状が完全に消失し精神的に安定した場合は完全寛解と呼ぶことが一般的で、身体医学の治癒に相当する。

(中略)

さらに、症状が多少残っていても精神状態は安定し社会生活がある程度可能な場合は不完全寛解などと呼ばれ、社会生活を営めるほどには症状が消失してない場合は軽快、症状が不変、増悪している場合は未治と呼ばれています。

寛解と治癒:用語解説|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

 

2.本当に治る…?回復する割合は?
 約7割が1年以内に回復(寛解)
 うつ病は個人差が大きい病気ですが、診断を受けてから1年以内に回復(寛解)する患者さんの割合は約7割だといわれています。
 残りの3割の患者さんは、数年かけてゆっくりと回復をめざします。
 
残りの3割の傾向は?
この場合は、なんらかの症状が残る『部分寛解』の傾向が見られます。
完治ではなく一部の症状は良くなっているものの、いくつかの症状を持ち続けている状態を指します。
その症状は「気持ちが落ち込む」「外に出たくない」「だるい」といったものですが人によってさまざまです。

うつ病の平均的な治療期間を解説!1年以内に寛解へ向かう割合は?|病気スコープ

 

不完全寛解あるいは残遺症状を伴った寛解(部分寛解)は、うつ病の診断基準を満たさない程度も含めて再燃・再発を起こしやすいそうです。

 

 

 

あなたは何も悪くない。…?

再発を繰り返してはいけない

先に述べた通り、うつ病の治療において最も大切なことは「再発させないこと」です。

再発を繰り返すほどに重症化し治りにくくなる傾向があるからです。

だからこそ、うつ病の治療においては初発時にしっかりと治療を受けて、完全寛解した状態にまで回復させることが最も重要です。

再発した場合、うつ症状は前回よりも重症化し、治療抵抗性になる傾向があります。

うつ状態の期間も長くなり、次に寛解に至っても、また短期間で再発するなど、慢性のうつ病に推移するリスクが高まると言われています。

初めて発症した時点では、心理社会的なストレスが関与していることが多いものの、再発を繰り返すと、ストレス要因がなくても再発する傾向ができるようです。

うつ病の症状と治療経過について|銀座心療内科クリニック

 

うつ病は必ず再発するの?

うつ病の再発率50~60%と言われています。

これは裏を返せば「40~50%は再発しない」ということ。

うつ病は確かに再発の「リスク」は高いのですが、「必ず再発するものではない」し、まして「つらい症状が永遠に続く」ものでもないのです。

うつ病を発症した方の5割は寛解し、その後、うつ病を再発することがないと言われています。

うつ病の症状と治療経過について|銀座心療内科クリニック

 

再発するのは病気のせい?

「再発」とは、「寛解して2ヶ月以上無症状だったものの、その後、うつ症状が発症した場合」を指します。

うつ病の場合、一度発症してしまうと未発症の場合よりも発症リスクが高くなります。この点では、再発はある意味病気のせいと言えるかもしれません。

 

しかし…本当にそれだけでしょうか?

 

残念ながら、少し調子が良くなってきた「回復期」、つまり”治療の中盤”で「自己判断で通院・服薬をやめてしまう」例は非常に多いようです。何を隠そう、筆者もこのパターン。そしてまんまと再発しました。この場合、再発したのは病気のせいではありませんよね。そう、私のせいです。

 

うつ病の素因

うつ病では、環境や出来事からのストレスだけでなく、【うつ病になりやすい素因(気質・性格・認知)】に起因することがあります。

 

「うつ病の人は真面目、几帳面、協調性がある、我慢強い」等と聞いたことはないでしょうか?より詳しく言えば、”もっと頑張らなければ、こうあるべき、自分が悪い、周りに迷惑をかけているなど自責的、ストレスを我慢して溜め込みやすい、自分を追い込む”といった傾向が強いほど、うつ病を招きやすいようです。

もちろん、そのような性格や考え方は悪いものではありません。しかし、うつ病に陥りやすい考え方や行動パターンが自分にあるならば、また、そのような傾向に偏っている自覚があるならば、改善する必要があります。

 

うつ病の回復というと、私たちはつい「元の生活に戻る」ことを目指しがちです。

が、うつ病発症の原因を取り除かないまま、言いかえると「元の自分のまま、元の環境に戻る」だけでは再発するリスクが非常に高くなります。

自分の場合には何が起因となっていたか、自分にうつ病を発症しやすい素因がないかをしっかり見つめ、それに応じて環境や自分を変えていくことも、再発を防ぐために重要なことなのです。

 

おわりに

うつ病では、再発リスクがあるために「完治」という言葉を使いません。

また、再発を防ぐために、治療は完全寛解させるまで全うすること、原因を分析し、うつ病の素因が自分にあれば改善すること、環境を調整することが大変重要です。

 

しかし、決して「治らない病気」ではありません。

 

特に初発の場合は、「完全寛解から治癒し、その後再発しない」可能性は十分にあります。未発症よりは再発リスクは高まるものの、絶対に再発するものではないし、つらい症状が一生続くわけではない。「うつ病=ずっとつらい」ではないし、「うつ病=不幸」では決してないのです。

 

仮に「寛解」のまま一生を終えることになっても…「通院・服薬が必要」というだけ。世の中には様々な病気を患っている方がいて、生涯服薬をしている方も大勢いらっしゃいます。そして、それは決して「不幸なこと」ではありません。

 

寛解後の生活が幸せかどうかを決めるのは自分自身。不幸であっても、それは病気のせいではない、と、私は考えます。

 

うつ病は大変つらい病気です。できることなら避けたいですね。けれど、発症したならば受け入れて前向きに、自分なりの治療を目指していきましょう。そして、自分なりの幸せを見つけていけることを祈っています。

 

ではでは。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました(⌒∇⌒)