こんにちは✨
鬱病歴がもう5年になってしまった なつみかん です(#^^#)
※再発もしているので、通算ではほぼ10年になります💦
ひとことで「うつ病」といっても、その原因や対処法、改善点は人によって様々です。
薬物療法と休養のみで改善する人もいれば、長期化する・再発を繰り返す人も。
また、パワハラなど大きな原因が取り除かれて一旦は回復したように見えても、実は元々「うつ病を引き起こしやすい素因」をもっていて、少しのきっかけで再発してしまう…ということも少なくありません。
多くの場合、精神科や心療内科を受診しても、発症の原因や個人の素因について深く追及されることはありません。しかし、うつ病を引き起こしやすい性格や思考傾向、認知の歪みをそのままにすると、ただでさえ高い再発リスクをさらに上げる結果になってしまいます。
本記事では、うつ病の「病型」をご紹介します。
「型」という視点を得ることで、ご自身の病気や状況について理解を深め、客観的に「改善点、改善方法」を考えるきっかけにしていただけたら幸いです。
病型による分類
うつ病は、以下のような病型(タイプ)に分類されることがあります。
①「メランコリー型」
…広く知られている従来型のうつ病。過度な自責感情が特徴。
②「非定型」
…気分反応性が特徴。他罰的で他責的な思考になる。
③「季節型」
…特定の季節に発生し、半年程度のサイクルで精神的不調を繰り返す。
④「産後」
…出産後に発症するうつ病
⑤「仮面うつ病」
…精神症状よりも先に身体症状が出るうつ病
この記事では、①「メランコリー型」と②「非定型」についてご紹介します。
1.メランコリー型 ~従来型、典型的なうつ病~
一般的に広く知られているうつ病はこの「メランコリー型」で、”定型うつ病”や”典型的なうつ病”、”従来型のうつ病”などと言われています。
いわゆる「真面目、頑張り屋、完璧主義」と言われる「メランコリー親和型の性格」の人がなりやすいと説明される「内因性のうつ病」※です。
※「内因性」については↓の記事をご参照ください
www.natsumikandiy.com
特徴的な症状としては、自分を過度に責める(自責思考)、何をしても楽しめない、意欲喪失、不眠や早朝覚醒などがあります。
定型うつ病では、【休養】【薬物療法】【精神療法・カウンセリング】が「治療の3本柱」です。そのほか、休養のために生活環境の調整を行う、回復が進んだら生活リズムを整える、運動する、栄養を取るなどの工夫が必要になります。
精神療法については、最近では「認知行動療法」という精神療法で、うつ病に対する効果が評価されているようです。
※定型うつ症の症状と回復過程については↓の記事をご覧ください
www.natsumikandiy.com
メランコリー親和型性格とは
「メランコリー親和型の性格」とは、「他者配慮性,几帳面,過度の良心性,責任感の強さ,仕事熱心などの性格特徴」を指します。メランコリー型性格は、社会生活を営む上では長所と思われがちですが、反面、責務や役割に過剰に適応してしまいキャパオーバーになりやすい性格と言えます。
昇進や結婚、出産などによる「生活状況や役割の変化」にうまく適応出来ず、一方で役割・責務に対して完璧を追い求める結果、負荷が自分の許容範囲を超えてしまい、うつ病の発症につながると考えられています。”許容範囲を超えた負荷”により脳が疲弊し、脳のエネルギーが枯渇して、脳機能に異常が生じてしまうのです。
このタイプでは、セロトニンなど脳内物質のバランスの異常を伴うと考えられており、抗うつ薬によって回復しやすいものの、うつ病を再発する場合が多いとされます。
詳しくは以下の引用をご参照ください(#^^#)
うつ病は、従来は「まじめな人がなる病気」と認識されていました。
ドイツの精神科医のテレンバッハは、うつ病になりやすい性格傾向としてメランコリー親和型性格を提唱しています。
秩序愛が基本にあって、良心的で義務を意識し、決まり事をきっちりと守る性格です。保守的で消極的な傾向があって、自分が所属している会社や地域などに対して密着しています。社会的な役割に合わせることで生活していて、自我が上手く育っていないともいえます。
秩序が保たれている時はよいのですが、そこに変化が生まれると破綻してしまって病気に発展します。
このようなメランコリー親和型性格は、うつ病発症の状況要因となると考えられました。
そしてこのようなうつ病の方は、「内因性うつ病」と呼ばれる脳の機能的異常によるうつ病になることが多かったのです。内因性うつ病とは、一般的に広く知られているうつ病の症状です。
気分が落ち込み、何事にも興味が失われてしまいます。
身体はだるくて疲れを感じ、意欲もわきません。
不眠や食欲低下が目立ち、状況にかかわらず朝に調子が悪くなります。
そして過剰なまでの罪責感がみられます。
メランコリー親和型の人は、真面目、几帳面、良心的、責任感が強い、勤勉、正確、綿密、凝り性、完璧主義、規範や秩序を愛する、人に気を遣うなどの長所がありますが、その反面、柔軟性に欠け、挫折に弱く、物事を一人で抱え込んでしまい周囲に助けを求めることができない、適度に「サボる」ことができない、などの弱点を有しています。
2.非定型
非定型うつ病は、うつ病の診断基準を満たしているけども、従来のうつ病とは違う典型的でない(非定型)症状が認められるうつ病です。
非定型うつ病の特徴的な症状は大きく5つあり、「気分反応性」「拒絶過敏性
「過食」「過眠」「鉛管様麻痺」がそれにあたります。詳しくは後述します。
定型うつ病では、セロトニンが少ないなど何らかの脳の異常が考えられており、抗うつ剤の効果が期待できます。定型うつ病では休養と薬物療法が主要な治療となり、精神療法では認知行動療法が有効であると言われています。
これに対し、非定型うつ病の場合は、脳の異常が関わっているかはっきりしておらず、抗うつ剤も効きにくいという特徴があります。
このため、精神療法が必要な病気と言われています。
誤解されやすい症状だが、本人はつらい
非定型うつ病では、
- 休日は元気に遊びまわっているのに、仕事になると落ち込む。
- 他責的・他罰的な思考傾向や言動が見られる。
などの特徴から「甘え」「仮病」「ワガママ」などと思われがちです。
定型うつ病では過度に自分自身を責める傾向(自責傾向)がみられますが、非定型うつ病ではなんでも他人のせいにしがちな思考(他責思考)に陥っている人が多い傾向があります。また、自分が「うつ病である」ということを声高に主張し、自分が病気になったことを上司や会社のせいだとしてパワハラを訴える場合も多くみられるようです。このようなことから、一見甘えている様にしか見えません。
しかし、うつ状態ではうつ病の診断基準を満たすほどの症状があり、本人には大きな苦痛があり、自死をしてしまう人も多いのが現状です。
※近年、特に20~30代の若者に増えていると言われている「新型うつ病」のイメージは、この非定型うつ病と重なるところが多いですが、「新型うつ病≠非定型うつ病」です。
非定型うつ病の診断基準
「鬱状態ではうつ病の診断基準を満たすほどの病的な抑うつ状態が認められ、そのうえで「気分反応性」を必須とし、5大症状のうち合計3つ以上の症状が認められた場合に、非定型うつ病と診断されます。
非定型うつ病の5大症状
非定型うつ病の特徴的な症状としては、以下の5つが挙げられます。
- 気分反応性
- 社会生活に支障をきたす拒絶過敏性
- 過眠
- 過食
- 鉛管様麻痺
気分反応性 ~非定型うつ病を診断する必須症状
気分反応性とは、「嫌なことがあれば落ち込むけれど、良いことがあれば元気になる」というように、何かのきっかけに反応して気分が変化することです。
従来型のうつ病では、常に気分の落ち込みがあり何をしても興味や喜びを感じませんが、非定型うつ病では自分が好きなことは楽しめます。
この気分反応性は、非定型うつ病と診断されるうえで必須となる症状です。
拒絶過敏性
非定型うつ病の中核にある症状です。
他人から自分を否定されることに対して、過度に敏感になることです。
例えば些細なミスを指摘されただけなのに「能力を否定された」「人格を否定された」と過度に落ち込んでしまったり、反対に逆切れして攻撃的になったり、怒り狂って暴言や暴力を浴びせることもあります。
こうした特徴から、周囲から自己中心的、身勝手、わがままと思われがちです。
定型うつ病では、他人からの指摘を自責的に捉える傾向が強いです。
過眠・過食
メランコリー型うつ病では不眠になることがほとんどですが、非定型うつ病では不眠よりも過眠になることが多いようです。
※1日10時間以上の睡眠が週3回以上あると過眠と考えられます。
長時間の睡眠をとっても熟眠感が得られず、生活リズムが乱れがちです。
また、定型うつ病では食欲がなくなり体重も減少してしまう傾向がありますが、非定型うつ病では過食によって体重が増加することが多いです。脳が糖分を欲するために、特に甘いものが摂りたくなります。
甘いものを食べて気分が良くなるのは一時的で、すぐに食べてしまうことに嫌悪感を覚えます。
ただし、過食症の方のように下剤を乱用することなどは少ないようです。
鉛管様麻痺
定型うつ病でも疲労感や倦怠感が認められますが、非定型うつ病ではこの度合いが強くなります。「まるで鉛が入っているように」体が重くなり、立ち上がることすらできなくなるほどに、極度にだるくなってしまいます。(鉛管様麻痺:えんかんようまひ)
鉛管様麻痺は、嫌なことがあったときや気分が落ち込んだ時に起こりやすいようです。
これを改善するには、動かしたくない体を意識的に動かす努力が必要であると言われています。
非定型うつ病の発作的症状
非定型うつ病では、以下の2つの発作的症状が認められます。
- 不安抑うつ発作
- 怒り発作
不安・抑うつ発作では、理由なく突然、激しい不快感情(不安・焦燥、うつ気分、絶望感)が襲ってきて、極度に落ち込んでしまいます。
「誰も自分のことを理解してくれない」などといった悲観的な思考が強まります。
そのまま泣いて過ごすこともあれば、他者への嫉妬に変わることもあります。
この不安感をなくすために、衝動的な自己破壊行動(リストカット、ODなどの自傷行為や、飲酒、むちゃ食いなど)を起こしてしまうことがあります。
このような状態は3時間から半日続くことが多く、ときには1日中続くこともあります。
怒り発作とは、拒絶過敏性によって自分が否定されたと感じた時に生じる発作的な怒りです。相手に対して激高して罵声を浴びせたり、暴力をふるったり、周囲のものを破壊したりします。落ち着くと後悔が強まり、自己嫌悪におちいってしまうことが多いです。
非定型うつ病は合併症が多い
非定型うつ病は、不安が根底に強い病気です。
非定型うつ病の拒絶過敏性は、対人不安が少しずつ発展した結果であることが多く、病的とまではいかなくても「不安になりやすい気質」であることが多いです。
そのため、社会不安障害をはじめ、パニック障害や全般性不安障害などの不安障害を合併する方が多いようです。
また、原因不明の慢性疼痛疾患である線維筋痛症や、片頭痛といった痛み、過敏性腸症候群や耳管開放症などの自律神経症状による身体の機能異常を合併することも多いです。
非定型うつ病の方の病前性格は、むしろ周囲からは良い人に思われていることが多いです。しかしながら病気の経過のなかで、症状や周囲との人間関係の破綻などから性格も変化してしまいます。
病気が長引くと性格として固定化してしまい、パーソナリティ障害と区別がつきにくくなってしまいます。結果として、境界性パーソナリティ障害や回避性パーソナリティ障害などが合併してしまうことがあります。
非定型うつ病の治療
非定型うつ病の治療では、以下の3点が重要です。
- 生活習慣を整える(↼小さな目標を立てる)
- 精神療法に取り組む
- 社会生活で実践する
生活習慣を整える・小さな目標を立てる
先に述べた「鉛管様麻痺」は生活リズムの乱れがあると、より強く現れます。
そのため、非定型うつ病の治療では、生活リズムを一定に保つことが大変重要です。
そして、生活リズムを整えるために、「朝〇時に起きる」「毎日〇分散歩する」など具体的な目標を立てて実践していく必要があります。
生活リズムを整えるだけで、かなり症状が落ち着く方もいるようです。
過食や過眠をコントロールするのは簡単なことではありませんが、起床時間と入眠時間を決めて毎日繰り返すなどのことから始めてみましょう。
精神療法に取り組む
非定型うつ病の治療は、精神療法が中心になります。
非定型うつ病の本質的な症状である「拒絶過敏性」を改善していく必要がありますが、具体的には拒絶過敏症のもととなっている「不安になりやすさ」自体を少しずつ改善していきます。
有効なアプローチとして、以下の4つが挙げられます。
- 認知療法(認知行動療法)
- 行動療法
- 対人関係療法
- 社会リズム療法
社会生活での実践
上の2つの治療~1.生活リズムを整える、2.精神療法~を行うにあたっては、社会での実践の場があったほうが良いと言われています。
仕事をしている方はできるだけ続けた方がよく、つらいと感じても時間通りに出勤して仕事をこなしていくうちに少しずつ変わっていけます。
もちろん症状がつらいときには一時的に休むことが必要ですが、それでもできる限り仕事を続けることが治療になります。
仕事をしていない場合は、デイケアや作業所などを活用しましょう。
一日の勤務時間が短くとも、日数は増やした方が良いようです。
デイケアや作業所も難しい場合は、自宅の家事の計画を立てて実践したり、図書館に通うなどしても良いでしょう。
1日の計画を立て、それを日課として継続することが大切です。
薬物治療について
非定型うつ病では、薬物療法だけでよくなることはあまりないようです。
しかしながら、精神療法と社会生活での実践を行うにあたり、薬はサポートとして重要な役割を果たします。
ただし、非定型うつ病は合併症も含めさまざまな症状に悩まされることが多いために、結果的に多剤を服用することになりがちです。一方で服用を中断したり、逆に過剰摂取してしまうことが少なくないようですので注意が必要です。
おわりに
同じ「うつ病」でも、定型うつ病と非定型うつ病では病相も治療法も異なります。
「定型/非定型」という見方から、自分の病気について理解を深めることができます。そして、自分の病状を正しく認識することで、適切に、前向きに治療に取り組むことができると私は考えます。
定型うつ病でも非定型うつ病でも、自分を責めたり卑下したり、他者からの誤解に心を痛めたり…といったことがあるかと思います。
が、「病気・症状」と「人格」は別物です。
うつ病を引き起こしやすい気質や性格というものはありますが、
うつ病だから甘えてるわけでもなければ、うつ病だから優しくて真面目で誠実な人でもないのです。
「症状」を自分の性格や人間性の問題なのではないかと思い悩む必要はありませんし、一方でうつ病の要因となりうる偏った考え方や認知の歪みがあれば、修正すべき課題として向き合う必要があります。
正しい認識を持って、自分や病気を客観的に捉え、粛々と治療に取り組んでいきましょう✨
この記事が、どなたかのお役に立てれば幸いです。
ではでは✨
ここまでお読みいただき、ありがとうございました(#^^#)
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